福岡県香春町で「理容ももさか」を営む桃坂豊さんは理容師以外にも、読売新聞西部本社・明日の筑豊を考える30人委員会委員、JR九州・鉄道ファン懇話会員など、多くの顔を持つ。 その代表が著述家としての顔。主要テーマの一つが鉄道で、読売新聞の連載コラムを持ち、その集大成を「九州鉄道ものがたり」として上梓するなど、特に九州の鉄道に関する執筆を手がけている。また、筑豊、北九州など郷土に関する著述も多い。 別の顔が、福岡県文化財保護指導委員というもの。担当地区の国宝、重要文化財、天然記念物などを定期的に巡視し、その状況を県に報告するとともに、何らかの変化があった場合はその対策も提案する。「地域社会への貢献になれば」と受託したが、今では委員の中でも古参に入るほど長く務めている。 |
郷土や鉄道をテーマとした執筆をはじめ、 さまざまなフィールドで活動を展開する桃坂豊さん |
桃坂さんの著作の数々。 右上が最新作の「沖縄・九州鉄道チャンプルー」 |
そんな桃坂さんが今、取り組んでいるテーマが、戦前に存在したという沖縄軽便鉄道、通称「ケービン」。その取材・調査で現地を訪れた回数は、すでに50を超えるという。 事故で爆発して多くの犠牲者が出たにもかかわらず、戦略上の理由からその事実を日本軍に隠蔽され、ついには戦火に消えたケービンにまつわる悲劇を伝えるべく、執筆活動はもちろん講演活動にも勤しみ、昨年はこのテーマでTBSテレビ「ニュース23」内特集コーナーの企画・構成、現地取材役まで務めた。 しかし、基本はあくまでも理容業。店を空けることなく、こうした活動は休日や余暇を活用して行っている。そして、いよいよ「本業をテーマとした執筆にも取りかかりたい」というから、この先の活動も楽しみだ。
(理楽TIMES H21.6.1付けNo.405掲載) |