(作品紹介)
巨匠・今村昌平監督が「黒い雨」以来8年ぶりにメガホンをとり、第50回カンヌ映画祭グランプリ(パルムドール)受賞他、日本アカデミー賞等で主要部門を独占した話題作。発売元:松竹富士配給・1997年・カラー134分
(ストーリー)
妻の浮気に逆上し妻を殺してしまった男・山下拓郎(役所広司)。極度の人間不信に陥った山下は仮出所後、理容店を営みながら人々との交流を避け、本音を明かす唯一の相手は、水槽で飼う“うなぎ”だけ…。
そんな自戒の日々の中、山下は河原で自殺未遂の女性・桂子(清水美砂)を助ける。桂子は恩返しにと理容店の手伝いを申し出て、山下は渋々雇うことに。慈愛に満ちた桂子の優しさは拓郎の心をも開いてゆくが…。
(理容店の風景)
廃墟となった理容店を改装した店頭には、スタンド式の大きなサインポールが廻っており、明るく清潔感漂う店内には、クラシックな茶色い理容椅子2台とシャンプー台、広めに取られた客待ちがある。
客待ちには常に人があふれ、大学イモなど手料理が振舞われている。中学生が体育のマラソンを抜けて立ち寄るほど地域に馴染んでいるが、山下は人付き合いが苦手。桂子の明るさと女性ならではの気配りが店のあたたかい空気を生み出している。