(1)謎に包まれた白髪のメカニズム
白髪に関しては現代の医学の力をもってしてもその原因は謎で、まだ完全に解明されていないのが現状です。白髪になるメカニズムは解っていても、なぜ白髪になるのかという根本の原因が解らないのです。普通はメラニンを含んだ細胞がそのまま押し上げられて皮質(髪の毛の一番多くを占める部分で、のり巻スシで言うとご飯の部分)をつくるので、毛は黒く見えるのですが、色素細胞にメラニンをつくる力がなくなると白髪になってきます。白髪は一般的には老化による年齢的なもので、メラニンをつくる能力が次第に衰えて色素が消失したものですが、身体の機能までが老化しているということではありません。
(2)注意が必要な白髪
白髪をともなう疾患で、慢性胃腸疾患、マラリア、貧血症、甲状腺疾患、脳下垂体機能低下症、尋常性白斑、円形脱毛症などの病気があったりすると、急激に白髪が増えたり、かたまって白髪が発生することがあります。(これらの場合は病気が治れば黒髪が復活することもあります。)漢方では「髪は血の余り」と言われていますが、血が余れば(養分が豊富ならば)髪は黒く健康になり、不足すると、白髪や抜け毛を引き起こすとされています。また漢方で言う腎(生命の根本)が衰えや、ストレスを受けやすい体質などの場合には、これらの強化や体質改善などを図ることにより、シラガになるのを多少遅くすることができそうです。
(3)食事で白髪を防ぐ → 毛髪等に関係のある微量栄養素一覧表
ビタミン |
一日必要量 |
増強作用をもつ栄養分 | 溶解性 安定性 |
失効作用をもつ要因 | 補強源 | 促進される身体機能 | 欠乏時の症状 |
B複合体 抗脚気因子 |
〔腸内細菌〕 |
ビタミンB単体にはB複合体を併用すること。ビタミンC、E、カルシウム、燐 |
アルコール、コーヒー、抗生剤、サルファ剤、避妊薬、睡眠薬、過量の白糖、ストレス |
酵母、胚芽、全穀、レバー、ヨーグルト(腸内でビタミンBを合成する細菌補給) |
エネルギー代謝、胃腸の筋肉緊張維持 |
疲労感、脱毛、便秘、不眠 |
|
ナイアシン 抗ペラグラ因子 補酵素 |
(13~19mg) 〔腸内細菌〕 |
ビタミンB複合体、ビタミンB1、B2、B6、C、燐、蛋白 |
水、油/難溶・O2光、熱/安定 |
アルコール、コーヒー、抗生剤、過量の白糖、とうもろこし、肝疾患 |
酵母、全穀、ナッツ、レバー、獣肉、魚卵、卵白〔ヨーグルト〕 |
発育、胃酸合成、糖質、蛋白、脂肪代謝、性ホルモン合成 |
脱毛、食欲不振、関節の痛み、疲労感、筋力低下 |
葉酸 |
(400mg) 〔腸内細菌〕 |
ビタミンB複合体、C、ビタミンB12、ビオチン、パントテン酸 |
水、油、O2光/不溶・熱/不安定 |
アルコール、コーヒー、煙草、避妊薬、ストレス、サルファ剤、発熱 |
酵母、全穀、レバー、緑葉野菜、かんきつ類、ヨーグルト |
細胞増殖と生殖、核酸(DNA)合成、胃酸合成、赤血球形成 |
月経不順、白髪と脱毛、食欲不振、胃部痛、疲労感 |
ビオチン (ビタミンH) 抗皮膚炎因子 |
(100~200mcg) |
ビタミンB複合体、ビタミン12、C、葉酸、パントテン酸、硫黄 |
水/難溶・油、O2光、熱/不溶 |
アルコール、コーヒー、抗生物質、卵白 |
酵母、レバー、卵黄、ほうれん草、トマト、(ヨーグルト) |
細胞増殖、脂肪酸形成、糖質、蛋白、脂肪代謝 |
脱毛、湿疹、足の痙攣、抑鬱、疲労 |
イノシトール |
— |
ビタミンB複合体、コリン、ビタミンB12、F |
アルコール、コーヒー |
酵母、全穀、大豆、緑葉野菜、柑きつ類、乳製品 |
毛髪成育、動脈硬化、遅延、脂肪コレステロール代謝 |
脱毛、動脈硬化、便秘、肥満 |
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P-アミノ安息香酸 (抗白髪因子) |
— (—) |
ビタミンB複合体、ビタミンC、葉酸 |
水、油/可溶・O2光、熱/安定 |
アルコール、コーヒー、サルファ剤 |
酵母、卵、モツ |
赤血球形成、白髪化防止、蛋白代謝 |
疲労感、白髪、消化不良、便秘 |
(4)毛髪等に関係のある美両栄養素一覧表(ミネラル編)
ミネラル | 一日必要量 (アメリカ人の所要量) |
増強作用をもつ栄養分 | 失効作用をもつ要因 | 補強源 | 促進される身体機能 |
欠乏時の症状 |
カルシウム (Ca) |
600mg (800~1200mg) |
ビタミンA、C、D、鉄、マグネシウム、燐、ビタミンF、蛋白(リジン) |
運動不足、過度のストレス、過量の燐、リ過量の飽和脂肪酸など | チーズ、ヨーグルト、骨粉 | 骨形成、凝血、筋収縮、神経伝達 | むし歯、骨の異常(軟化)、関節の痛み、背部痛、指のふるえ、もろい爪 |
マグネシウム (Mg) |
(300~400mg) |
ビタミンB5、カルシウム、ビタミンC、D |
蛋白質、ビタミンD、過量のカルシウム、脂質の多すぎる食事 | ふすま、ナッツ、緑葉野菜、海藻、骨粉 | 酸、塩基平衡、血糖代謝、核酸(DNA、RNA)合成、カルシウム代謝 | むし歯、脈が早い、神経質で怒りやすい、音に過敏、手、足、声のふるえ |
鉄 (Fe) |
10mg |
ビタミンC、カルシウム、銅、ビタミンB12、葉酸、コバルト、燐 |
コーヒー、茶、過量の燐、過量の亜鉛、銅、マンガン | 胚芽、レバー、もつ、卵、魚、とり肉 | ヘモグロビン合成、ストレスや病気に対する抵抗性、発育 | もろい爪、呼吸困難、便秘、月経困難 |
銅 (Cu) |
— (2~3mg) |
鉄、コバルト、亜鉛、モリブデン |
過量の亜鉛 | もつ、レバー、かき(貝)、もやし、アボガド、ナッツ、乾ぶどう | 骨形成、赤血球形成、創傷治癒、精神及び情緒活動 | 心臓部の痛み、息切れ、全身衰弱 |
亜鉛 |
— (15mg) |
ビタミンA(大量)、カルシウム、銅、燐 |
アルコール、過量のカルシウム、燐不足、フィチン酸、避妊薬 | 酵母、大豆、レバー、魚、貝、ほうれん草、きのこ | 発育、生殖器の成熟、糖質代謝、創傷治癒 | 発育のおくれ、性的成熟のおくれ、食欲不振、疲労感、傷のなおりのおくれ |
セレニウム |
— (0.05~0.2mg) |
ビタミンE | 水銀、カドミウム、銀、砒素、硫酸塩 | 全穀(玄米)、獣肉、魚、卵、貝 | 細胞膜活性、膵機能(がんに対する抵抗性をまずとも言われている) | 老化性色素、水銀中毒による神経、精神症状 |
沃度 |
— (150mcg) |
海藻 | エネルギー代謝、肉体的精神的発育 | 手足が冷たい、毛の異常 |