(作品紹介)
「二百三高地」を手掛けた、監督・舛田利雄と脚本・笠原和夫のコンビが放つ戦争巨編の第2弾。第1部:シンガポールへの道、第2部:愛は波濤をこえての2部で構成されている。総製作費15億円、台湾・サイパンに長期ロケを敢行して撮影された超大作である。発売元:東映ビデオ株式会社・1982年・カラー180分
(ストーリー)
「大日本帝国」という国号は、明治22年2月11日に発布され、第2次世界大戦での敗戦とともに消滅したが、紛れもなく日本民族の国家の称号であった。
本作はその「大日本帝国」が滅びゆく、昭和16年から昭和20年にかけての南方戦線を中心に、前線に駆り出された若者たちの過酷な運命を辿る青春群像を描きながら、「大日本帝国」の下に政府要人、軍人、さらに民間人はその時代をどう生き、日本人にとってあの戦争は何であったのかを、敢えて平和の現代に問うた戦争巨編である。
(理容店の風景)
理容店主(愛川欽也)の姪(関根恵子)はバスの車掌を勤める明るい娘。明日、入営する職人(あおい輝彦)に哀れみを感じ、結婚式を挙げるが、夫は南方へと出征する。お店は女達だけで続けられており、足を負傷し戻ってきた夫は、生きる気力を失っていた。妻は、愛する家族のために生きて欲しいと訴え、いっとき安らぎの時が流れる。再度の出征の朝、息子にバリカンをあてる夫、見守る妻。テーマ曲は五木ひろしの「契り」である。
戦死する者、自決する者、飢え死にする者、夫も妻も絶望のなかを、別々に彷徨い続ける。「契り」とは、約束である。「生きて帰って来る」という約束である。いま、あなたが行き得ているのは何に縁ってですか・・・。