(作品紹介)
「寅さん」の愛称で親しまれる国民的映画「男はつらいよ」のシリーズ第33作。日本映画界の巨匠、山田洋次監督が、北の大地を舞台に描いたヒューマンドラマ。松竹ホームビデオ・1984年・カラー102分
(ストーリー)
霧の町釧路で、寅次郎(渥美清)はさすらいの理容師・小暮風子(中原理恵)と出会う。自分と似た境遇に、親近感を持った寅さんはいつしか彼女に好意を持ち始める。
若さゆえに刺激を求め、危険を冒す風子と、愛するものの不幸を黙視できない寅次郎の苦悩。果たしてその結末は…。
(理容店の風景)
作品中には、釧路と根室、2店の理容室が登場する。どちらも見慣れた、いわゆる一般的な理容店だが、この作品で面白いのは寅さんの理想の理容店が語られていること。
「小さくてもいいから小奇麗な店がいいな。壁にさ、西洋の絵がバーンと置いてあってな。窓際には、熱帯魚がチラチラチラチラっと泳いでるんだよ。プーンと良い香水の匂いがするんだ。で、いつも音楽が流れている。俺が旅先から帰ってくると、真っ先にその床屋に行くね。すると、スカッと刈り上げた亭主がいらっしゃいませってむかえてくれるんだ」。
聞いているだけで、目に浮かんできそうな気持ちの良い理容店である。