「理容2022メッセージ全国大会」優勝作品

はい、私は理容師です

四国協議会代表(香川県)宮武 秋香

 「私は女性理容師です!」こうして胸を張って言えるようになったのは、ある大きな転機があったからです。四代続く理容師の家に嫁いだ私は、家族の希望もあり、子育ての傍ら理容師免許を取りました。私が嫁いでからの生活は慌ただしく、子育て、祖父母の在宅介護のサポート、家事に仕事。毎日があっという間に過ぎ、ふと理容師として自分の存在価値が分からなくなっていました。主人や母の仕事を手伝っている感覚で、技術や接客に自信が持てるものがなかったのです。自分にも何か… という焦りと不安から、組合の人達との繋がりを求め、私は積極的に組合活動に参加するようになりました。

 そんな矢先、当時の理事長の発案で、女性理容師の活躍の場を、と女性グループが構成され、声をかけられた私は迷わず加入を希望しました。三十代から六十代の十名。讃岐うどんが全国的に知られていることから、さぬきエステ部会と命名されました。「さぬきうどんのようにコシがあり、滑らかな曲線を描く手技を使いお客様をハッピーに! 」をコンセプトに、ハンドマッサージ、フェイシャルマッサージを考察しました。そして理容店への普及、メニュー化を目指し、ひとつのプロジェクトが動き出したのです。組合員に広げる為、百三十二名の受講者に講習会を行い、男性女性限らず誰でも出来る技術として、さぬきエステの思いを伝えてきました。

 また、組合主催のイベントに体験コーナーを設け、理容店でのリラクゼーションメニューとしてアピール活動を行いました。当日、体験を終えたある女性が、「私、一人暮らしだから、こんなに優しくマッサージしてもらった事ないわ。本当にありがとう。 」と涙を流して喜んで下さったのです。私達の手が、こんなにも人々に感動を与える事ができるんだ! この出来事に喜びを感じ、感動を多くの人に伝えたい!  

 そう思い、メンバー全員が目標に向かって一致団結していました。

 しかし、このプロジェクトが終盤にさしかかったころ、コロナ禍に見舞われました。人間関係は一気に閉鎖的になり、心身共に疲弊した状況に陥ったのです。さぬきエステ部会の活動も苦境に立たされました。そんな事業展開の難しい時に、私は女性部長に選ばれたのです。私は思ったのです。アフターコロナに備えての、今こそ癒しやリラクゼーションの技術、心得を深く学び、人との触れ合いを大切にするさぬきエステを進展さす方策を考えるべきと・・・。

 こうした組合活動を経て、組合に深く関わる事で、さぬきエステ部会で得たような活気ある女性理容師同士の絆を深めたい! と強く意識するようになったのです。

 香川県の交流は県内だけではなく、四国協議会として二年に一度、四国女性フォーラムを開催していて、営業に役立つ知識や、女性に特化した内容の講習会を行っています。

 また今年度、全国理容連合会では、ジェンダー平等の取り組みとして、女性代表の特別評議員制度を設け、女性の参画を目指しています。コロナ禍で未だ厳しい情勢ですが、女性理容師ならではの細やかなおもてなしの心で、理容業界を盛り上げていくことが期待されています。

 色々な人と出会い、そして学びがあり、その刺激が日々の営業にも活かされていく! 沢山の経験で、私の理容師としての人生はどんどん豊かになっていると実感しています。私の周りの理容師の先輩方は常に努力し、前向きで熱心な方ばかりです。大切な事を教えて下さる先輩方や、いつも応援してくれる家族に囲まれ、この恵まれた環境で学べる事に感謝します! そしてお客様に喜んで頂ける理容師として、更に胸を張って、「私は女性理容師です!」と言える様に成長していきたいと思います。

Translate »