ヨーロッパの理容店看板~理容外科医にまつわる品からスタート~

 

ヨーロッパの理容店の看板が、「赤・白・青」のサインポールに落ち着くまでには、大きく2種類に分類される流れがありました。一つは真鍮や銅製の皿、もう一つがサインポールでした。いずれも中世の理容外科医ゆかりの品のため、目印として使用されてきたのでした。
現在でも、フランスなどでは「皿」の看板を出す店が多く、またイギリスではもとはサインポールに皿やコップ、壷などをぶら下げていましたが、その後ポールだけが残ったといわれています。「皿」は瀉血の受け皿、「コップ」は抜歯、「壷」は18世紀以降にヨーロッパで瀉血の代わりにヒルに血を吸わせるという方法が大流行した時に、ヒルを入れていた壷を意味しています。
その後、看板として完成されたサインポールの頭についている「玉」は、かつて看板に使われていたこれら皿やコップ、壷などが変化して「玉」の形になったとされています。(サインポールの色については、近代理容業篇の「1.理容店の看板~赤・白・青~の謎」の項をご覧ください)
なお、中世の末期頃には、外科は、外科医、理容外科医、湯屋外科医の大きく3種類に大別されていました。下記のようにそれぞれが、自分たちの看板をもってお互いを区別していたようですので、参考までにご紹介します。

   ○外 科 医 → 青白の棒に小さな赤旗と薬壷

   ○理容外科医 → 青白の棒のみ

   ○湯屋外科医 → 盤とタオル

(ただし、他説には棒の色が「赤・白」であったという記述や、「赤・青・白」であったという記述もあります)


 

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