今の自分が取り組める戦略
亀岩真奈美(和歌山県組合)
◇◇◇ 目 次 ◇◇◇
『はじめに』
『本論』
(1)
季節にあう・その時のお客様の心情にあう・
素敵だと、ときめきを感じるポストカードを
選ぶ
(2)
パソコンで作成していく
(3)
かけがえのない1枚にするために
(4)
その時々におくるカードについて
『おわりに』
『今後の展望』
『はじめに』
誰もが予想もしなかった新型コロナウイルスとの闘い。
マスク生活、自粛生活。こんなにも長引くとは・・・
コロナ禍で色々な事が起こった。世の中は変わっていき、多くの人が戸惑い、もがきながら、手探り状態で、どうにかこの長いトンネルから抜け出そうとした。
変化の時代となったと感じる。
変化とは・・・
一番に思うことが、SNSやYouTube・パソコンを今まで以上に、身近に誰もが活用するようになったということだ。
知りたい事、学びたい事、興味がある事、いつでも、どこでも、気軽に楽しめる。情報収集、情報発信、集客。自分の世界が広がり、繋がっていく。欲しいものがすぐに購入する事が出来るし、オンライン授業・会議など、活用の仕方が可能性に満ちている。
私のことで言うと次男が亡くなり、4年が経つ。悲しみと後悔と共に1日1日頑張りながら、時間は過ぎていく。
2年間は、やりたい事に取り組めた。
充実した日々、遠く離れた両親とも楽しい時間を過ごせた。
3年目から体の不調が出てきた。病院の先生は、今やっと体が疲れを出せるようになったのだと。
4年目は不調がますます酷くなってきた。
不調を受け止め、受け入れ、改めて気付く。
気付けた事が山のようにある。
色んな事を見つめ直す事が出来た。
今の私には、仕事に向きあう時間を持てる。
仕事があったからこそ自分らしくやってこられたのだ。
理容業について初心に戻り私に出来る事を、新しい気持ちで、取り組むことをスタートした。
私が一番こだわりを持ち、信念をもってやり続けていること。
暑中見舞い・クリスマスカード・その時々にお客様へお便りを出すということだ。
同期の美容師の親友がサンキューハガキをお客様に書いている。
来店から2週間以内に、「御来店ありがとうございました。」と毎回デザインの違うハガキで、感謝の気持ちとメッセージを書いている。
素晴らしいなといつも思っていた。
次男の闘病の事もあり、出かけることが難しかった私達に親友は、出かけた先からお土産と便りを何度も届けてくれた。
親友から届く素敵なポストカードは、季節感にあふれ、元気をもらって明るい気持ちになれた。部屋に飾ったり、目のつく場所に貼ったりして、癒された。
同期の親友も頑張っている。私もやってみよう!書くことが大好きな私。親友のおかげで
私が出来る事を始める事が出来たのだ。
『本論』
(1)季節にあう・その時のお客様の心情にあう・素敵だと、ときめきを感じるポストカードを選ぶ
届けたいのはお客様への感謝の気持ち。
作成時には手にして頂ける、目にして頂けるようなカードになるように心掛けること。
暑中見舞いなら、和風・洋風かで感じる夏の暑さや涼しさも変わってくる。
クリスマスカードも毎回雰囲気を変えて。
写真かイラストかでも大きく違ってくる。
色鮮やかな街並み・クリスマスの鈴の音が聴こえてきそうなもの・シーンとした雪の夜のように心鎮まるもの。
ポストカードなので、ハガキの裏面一面がデザインとなっているので、この選ぶという作業から始まる。
ポストカードはホワイトベースというポストカード専門店から購入。色んなジャンルがありデザインが豊富、常に進化しているので、この会社に出会えたことは財産だ。
(2)パソコンで作成していく
暑中見舞い・クリスマスカードは季節の挨拶と夏季・冬期休暇の日程をパソコンで作成し印刷。
空いたスペースには、ポストカードのデザインと合う画像を入れる。
和を感じる暑中見舞いなら、風鈴・金魚・うちわ・朝顔・スイカ・浴衣・花火など。
南国を感じるものなら、ヤシの木・海辺・沈んでいくオレンジ色の夕日・果物・海岸線を走る車・バイクなど。
字体も明朝体・教科書体・楷書体・行書体など和を意識して。
洋風を感じるデザインの時は、ゴシック体・丸みのあるゴシック体・ポップ体・斜めにしたり・太字にしたり。
色もイメージに合うものに。思いきって冒険して色を変えてみる。
文面も毎回考え、お客様に分かりやすいように・堅苦しくない・でもちゃんと礼節もある・季節感あふれる・世の中の流れや世界で起こっている出来事など感じられるものに。
バランスよく、そして何よりも読みやすく、変化をつけ、私が作れるかけがえのない1枚にしていく。
(3)かけがえのない1枚にするために
印刷の文面から空いているスペースに、大切なお客様への言葉をお一人お一人に書いていく。高校時代に硬筆の授業と検定があり、熱心に取り組んできたので自信があるのだが難しい字や書きにくい、バランスが取りにくい字など、どうすれば美しくかけるのか調べて研究に取り組むが、つい自分の書き方の癖が出てしまうので気を配る。
かけがえのない1枚にしていくために・・・
分かりやすいのが年賀状。
歳を重ねていくと年賀状を送る・送らないなどふるいにかけられている気がする。
1年の始まりに自分宛てに、年賀状が届くということは嬉しいもの。
最近は印刷が当たり前。
・お元気ですか?
・また会いたいね!
なんて手書きで言葉が添えてあったら嬉しさも増す。
・00!お互いにいい1年にしようね。
と私のあだ名でかいてくれていたら。
何十年会っていなくても一瞬でタイムスリップ。懐かしい友人の顔が浮かんでくる。
宛名も印刷が多い中、宛名が手書きだと、私の事を思いながら書いてくれたのだとまた嬉しくなる。
私も宛名を書く時、言葉を添える時、相手の事を懐かしく思い出せる。いいものだ。
印刷だけの年賀状は寂しすぎる。
こう感じてから、始めた頃は宛名を印刷していたが、手書きに変えることにした。
よく行くお店での事。
・00さん、こんにちは!
・00さんに会えて嬉しい。
・00さんありがとう!
そう声をかけてくれる。とても心地いい。
あなたは大切なお客様ですよ!と言ってくれているようだ。
だから手書きの文章の始まりは“00さん”
“00さん”こんにちは。お元気ですか?
「いつも!いつもありがとうございます!」と書いていく。
挨拶と“いつも”を繰り返すことはいつの間にか当たり前になっていた。
当店ではお客様のカルテを書いている。
ヘアースタイルの事は勿論、お客様が話して下さったことを書きとめている。
仕事の事、ご家族の事、趣味・体調のことなど。お客様から頂き物をした時も。
これが、私からの言葉を書いていく時に生きてくる。
・お休みの時はゆっくり休んで下さいね。
・00ちゃんの成長楽しみですね。
・山登りのお話また聞かせてください。
・またおすすめの映画教えてください。
この言葉も無限にある。
親友から届くカードには、いつも素敵な切手が貼ってあった。親友のこだわりが伝わってくる。切手も季節を感じる大切な存在だ。
だから私もこだわりを持って選ぶようになった。
1家族に3枚送るとすると、切手が同じものにならないように、手書きの文面も変えている。
子供さんをいつも送って来て下さるお母さんにも言葉を添えて書いたり、文章の最後にイラストを描いて色を塗ったり。
“ありがとうございます”
“ひいきにして頂いて嬉しいです”
“これからもどうぞよろしくお願いします”“あなたは大切なお客様です”
そんな当店の思い、私の思いがお客様に届きますように。少しでも、ほんの少しでも、届きますように・・・心を込めて、かけがえのない1枚に仕上げていく。
(4)その時々に送るカードについて
お客様がヘアースタイルを変えられた時、
パーマをかけられた時など、「気になるところはございませんか?」と送る。
その時々に送る用のポストカードは、幅広く
色んな種類のものを選んでいる。
自然を感じるもの、かわいい動物達、シンプルなもの、イラストのものなど。
体調を崩された、入退院された、介護の事、進学、就職、御結婚、子供さんの誕生、天候の悪い中の御来店、新規・久しぶりの御来店などすべて手書きで私の思いを伝える。
空いたスペースには、長年集めてきたハンコをインクの色も楽しみながら押していく。
手作りハンコを購入、オーダーで作成してもらう事も。
こだわりのある、かけがえのない1枚にしていくのだ。
オープン以来のお付き合いのお客様が高齢になりホームに入所されても、私は書き続けている。“ありがとう”の思いは永遠だ。
失客の方にも送る。
「また来てください!」なんて書かない。
季節のこと・天候の事などお元気ですか?と書いていく。当店を覚えていて頂くために。
「全部手書きのハガキなんて珍しい。嬉しかったよ。」と失客だった方が今では常連さんに。この言葉は一生忘れられない。
<失客>これはどう頑張っても仕方がない。
去る者は追わずと言う、ことわざのように割り切っていくようにしている。
『おわりに』
・素敵なハガキをありがとう。
・いつもありがとう。
・綺麗な字でびっくりしたよ。
・ハガキ見て散髪に来たよ。
・奥さんがハガキ飾っているよ。
・1枚1枚手書きは大変やろう。
・こだわりがあるからやっているのだろうね
・従業員にも見せたよ。
・嬉しかったよ。
お客様から声をかけて頂けると、とても嬉しい。私は嬉しい気持ちをありのままに、お客様にお伝えしている。
『今後の展望』
ものすごいスピードで世の中は便利になり
進化している。私がまだ知らない・分からないことだらけだ。
“AI”この言葉はよく耳にする。
AI―人工知能を使っているものが身近に、
私達の日常にあふれているそうだ。
世の中の流れに遅れないように、知らない・分からない・出来ないで終わらせていてはダメなんじゃないか・・・
自分の中でそういう思いがある。
理容という誇り高い仕事を、素晴らしい技術を、輝かしい歴史を知ってもらいたい。
情報発信・集客のためにも出来る事を学んで活用していけたら・・・
でも、ふと思う。
こんな時代だからこそAIで出来ない事って何だろうか。
そう考えた時、今私が取り組んでいることなのではないか。
お客様の気持ちに寄り添い、時には一緒に笑って、楽しんで、考えたり、悩んだり、共感したり。
お客様が笑顔で、心も清々しく、ほっと一息
つけたなら・・・
きっと私も心晴れやかに過ごせるだろう。
お客様に届けたい。
1枚のポストカードに思いを込めて。
商売をしている以上商売繁盛であること。
この理容業界が活気と話題性にあふれ、輝く未来があることが理想である。
今日来店して下さった方が、これからもずっと来て下さること。
失客することなく新規のお客様が毎日のようにあり、遠方からもお客様が足を運んでくださる。
理容の仕事は素晴らしい。
理容師になりたい!そう思ってくれる若者がどんどん増えていく。こんな理容業界であってほしい。
そのためには、生き抜いていく戦略、戦術が必要な時期だと提案します。
1枚のポストカード、こだわりのある1枚私のかけがえのない1枚!
これが今の私に出来る戦略、戦術である。
この小さな提案ではありますが、今後より一層強固な「全国理容生活衛生同業組合連合会」となることを願い、私の提案とさせて頂きます。