俗謡にも謡われたように、ちょん髷からザンギリへの過渡期であった明治初年頃には、実に様々なヘアスタイルがありました。当時の「新聞雑誌」によれば、
●半髪(小鬢のあるもの。月代を深く剃っているもの、つまり髷のもの)
●惣髪(月代を剃らず髷を結っているもの。髷を結わず撫で付けるもの)
●ジャンギリ(斬切。イガグリ型で髪の短いもの。撫で付けで髪の短いもの)
●冠下(堂上貴顕の紳士)
●丸剃り(僧尼その他)
などに大別されています。
また、当時の最新流行スタイルの『ザンギリ』ひとつをとってもいろいろな形があったようで、明治10年11月に刊行された「魯文珍報」で、
●総髪撫付(オールバック)
●中割(中央で分けたもの。オランダ人から模倣。商人型)
●開化頭(7対3に分けたもので、髪は相当長く伸ばした)
●うしろ撫付(深く額部を剃って、後頭の髪を撫で付けたもので、士族や医師に多かった)
●ジャンギリにしたが、月代の髪が生え揃わず、結髪との中間になっているもの。(兵士などに多かった)
ファッションの部分では、和洋混合の時代となっていましたが、以下のような代表的な例が前出の「新聞雑誌」に掲載されていました。
●切下髪に洋服。下駄を履く。
●散髪に直垂(ひたたれ)、帯刀で洋靴。
●剃髪で洋服。
●茶せん頭に両刀。
●へっつい頭でパッチ、洋靴。
●長髷に月代で、仕合道具を携える。
●野郎つっこみ鬢で股脚を露出。
●半髪で駕籠をかく。