「夢への架け橋」
東海北陸協議会代表 (富山県) 橋爪 恵美
私は今、富山県理容美容専門学校で理容科教員として仕事をしています。
両親が理容師の家庭で育った私は、幼い頃から両親と同じ理容師になることを夢みていました。
理容師免許を取得し、晴れて理容師となった私は、数々のコンテストに挑戦し、東海北陸理容競技大会では優勝、「憧れの舞台」全国理容競技大会に出場、という選手としての夢を叶えることが出来ました。
7年半の修業を終え、もう1つの夢「両親と3人で同じお店に立つ」という夢も叶えることができ、お客様から「気持ちよかったよ!」「また来るよ!」と喜んで下さることが嬉しくて、とてもやりがいを持って仕事をしていました。
そんな去年の冬、ある1本の電話が鳴ったのです。
「理容学校の先生をやってみないか?」日頃からお世話になっている業界の方からの突然の電話でした。
「えっ?私が理容学校の先生?」
思わず聞き返してしまうほど驚きました。
今まで教えてもらうことばかりで、まだまだ未熟な私が生徒を教えるなんて出来るわけがない、と一度はお断りをしました。しかし、熱心に声を掛けて下さる学校関係者の方の熱意や、仲間から「お前にしか伝えられないことが必ずある!大丈夫!みんなで支えて応援するよ!」と温かく心強い声を掛けていただき、悩みに悩んだ末、理容科教員としての道を決意したのです。
理容科教員となり、生徒と接する日々が始まりますが、学校では突然現れた新米教師に生徒たちの反応は完全“アウェー”状態、意気込んで行った私の気持ちが空回りする日々の連続でした。
顔そりの授業中に「理容師の仕事って難しいよね。出来ないよ…。」という生徒の声を耳にします。なかなか上手く顔を剃ることの出来ない生徒からの声でした。
確かに顔そりの技術は難しい。ただ、その難しい技術を楽しく取り組みながら理容師の仕事って難しいけど楽しい!と思えるような授業をしなくては…。と気付かされました。
その生徒の声をきっかけに、風船を使った「バルーンシェービング」を取り入れたり、ペアで顔そりの実習をする際にノートを交換し、良かった点や改善点を記入し合う「シェービング交換日記」を作り、生徒が目的を持ち、積極的に取り組めるような授業を行うことにしました。
すると今まで顔そりがあまり好きではなかった生徒達から「楽しい!」という声や「もっと気持ちいい顔そりが出来るようになりたい!」という前向きな声まで出てきたのです!
「全国大会で優勝したい!」
「自分のお店を持ちたい!」
「海外で活躍したい!」
生徒たちは大きな夢に向かってもうスタートを切っています。
夢を叶えるためにはきっと楽しいことばかりではなく、辛いことや苦しいこと、悩むこともたくさんあると思います。
それでも自分の夢の実現に向けて頑張る生徒たちを私は、時にはお母さんのように温かく見守り、時にはお姉さんのように身近な相談相手として、一番のサポーターとなり、生徒たちと生徒たちの夢とをつなぐ「夢への架け橋」をしっかりと築いていこうと思っています。
今、業界が抱える問題のひとつに後継者不足の問題があります。
人を癒し、キレイにして感謝される…、
こんなステキな職業である理容師を育てるこの理容科教員という職業に誇りと責任を持ち、明日からも私は私らしく、
明るく!楽しく!元気よく!
理容業界の明日を担う生徒たちや子どもたちに理容師の素晴らしさ、楽しさを伝えていきます!