国立歴史民俗博物館は、一般の博物館とは異なり、国の歴史学、考古学および民俗学に関する資料の収集・保管、調査研究を大学の教員などと共同で行うことを目的とした研究機関で、その成果を展示する施設。展示には、常設の総合展示(旧石器時代から現代までの日本の歴史・文化の流れの中から生活史に重点をおいて構成された展示。第1展示室から第6展示室まで)と、年3回程度の企画展示、屋外の「くらしの植物苑」があり、毎月相当数の展示品を入れ替えている。
近世(江戸時代が中心)を取り上げている第3展示室の一角では、女性の小袖、着物をメインに、着物の小紋を染める染色用型紙、結髪の雛形模型、櫛、簪など、着物と一緒に使われていたものを定期的に入れ替えて展示し、当時の人々がどのようなおしゃれを楽しんでいたのかを伝えており、優れた職人の技術と、おしゃれにかけた人々のこだわり、情熱を伝えている。
結髪の雛型模型以外は当時の実物を展示しており、第3展示室担当の澤田和人准教授は「特定の価値観を押し付けるのではなく、実際こういうものがありましたという事実を淡々と伝えることで、過去の歴史について理解していただきたいと思います」と展示の方針を語る。
大河ドラマをみて訪れた方が、展示された実物を見て、当時作られたものとドラマのものとの違いに納得していかれることも多いということだ。
4月6日から5月5日には、結髪雛形の模型も展示される同館。燈籠鬢・潰島田、禿げ島田、横兵庫(江戸・吉原)など15点の結髪雛形模型を定期的に見られるのは歴博だけ。機会があれば足を運んでみてはいかがだろう。
●大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
住所/〒285-8502千葉県佐倉市城内町117番地
TEL/ハローダイヤル03-5777-8600
交通/JR佐倉駅下車バス約15分または 京成佐倉駅下車バス約5分
開館時間/9:30~17:00(月曜休館)
入館料/一般 600円、大学生 250円 、小学・中学・高校生 無料
(『理楽TIMES』H22.4.1付No.415掲載)