マリー・アントワネット、バッハ、ビートルズ、黒柳徹子…この名前を聞いて、顔は詳しく思い浮かばなくても、あぁ、あの髪型の人だとシルエットが思い浮かびませんか――長野県信濃美術館では、ヘアデザインを身近なアートとしてとらえた「ヘアーデザイン展」を開催している。
2部構成の第1部では、日本女性のヘアデザインにスポットをあて、生活の中で変化してきた髪型を、歌川国貞、月岡芳年、杉浦非水、中原淳一、木村伊兵衛、秋山庄太郎などの貴重で幅広いジャンルの作品で紹介、第2部では、アニメやゲームなどの髪型をとりあげ、コンピュータによるシミュレータでバーチャル体験もできる参加型展示となっている。
さらに、長野県理美容学校生徒の作品や、全国から応募が寄せられた「未来の髪型デザインコンテスト」入賞作品も展示するなど、ヘアデザインをさまざまな角度、切り口でとらえた多彩な内容となっている。
「美術館は敷居が高いと言われる方も多いので、洋服や工業デザイン、モダンデザインなど生活の中にある美を提案してきました。髪型は身近な個性の表現手段で、しかも時代を写す鏡です。プロの方にも違った視点からその面白さを感じていただければと思います」と学芸員の木内真由美さん。
ヘアデザインを文化としてとらえ、学術的に表現したこの展覧会、業界にとっても意義深い内容だ。8月20日まで
●長野県信濃美術館
住所/長野市清水1‐1‐4城山公園内(℡026‐232‐0052)
交通/長野駅バス乗り場①番から乗車。「善光寺北」下車。
開館/9時から17時(毎週水曜日休館)
(『全理連』 平成18年8月1日付けNo.371掲載)