いつの時代も世界のファッションシーンをリードしてきたフランス。その18世紀から現代までの女性のモードの変遷をまとめた「フランス・モード―18世紀から現代まで―」が、東京都渋谷区の文化学園服飾博物館で開催されている。
フランス・モードが開花したロココ時代から現代までは、市民革命、産業革命、第一次・第二次大戦、交通機関の発達、女性の社会進出などから、社会情勢や生活様式がめまぐるしく変化し、それに呼応してファッションも大きく変化した時代。その変化を産業とモードの関係を交えながら、当時の衣装とファッション誌をもとに紹介していく。
博物館2階では、日本で言う鹿鳴館スタイルのバッスル・スタイル、アール・デコの直線的なデザインが取り入れられたスタイルなど、18世紀から第二次大戦終戦までのモードが、1階では、クリスチャン・ディオールが発表したニュールックやピエール・バルマンが発表したジョリ・マダムスタイルなど、終戦以降のモードが紹介されており、同館学芸員は「この間、革命や大量生産による服飾資材価格の大衆化などにより、モードの牽引者が貴族からブルジョア、一般市民へと広がり、パリ万博で国としてファッションを発表したことで、フランスにとってファッションは文化となりました。そして、それを支えてきたのは、女性の強い美への欲求です」と、第二次大戦中、ドイツの統治下にあってもファッション誌が発行され続けていたことや、戦後すぐに貧困にあえぐ人たちから石を投げられながらもドレスを着た女性たちの話などを交えて解説する。
マネキンには、スタッフお手製の紙で作ったカツラが装着され、当時のヘアスタイルも楽しめるこの展示、「1900年頃にフランスで流行した、髪を上で束ねたヘアスタイルは、もしかすると日本のマダム貞奴がもとかもしれません」(学芸員)、髪と服の関係を見直す意味でも興味深い。6月14日まで。
ポンパドゥール夫人をファッションリーダーとする18世紀のロココ・スタイル。 これら当時実際に着用された貴重な資料、約130点を展示 |
●文化学園服飾博物館
住所/東京都渋谷区代々木3-22-7 ℡ 03-3299-2387
交通/JR新宿駅南口より徒歩7分 開館/10時~16時30分(日・祝休館)
入館料/500円
(『理楽TIMES』H.20.6.1付No.393掲載)