4月に16回目となる個展を開催した福島光夫さん(77歳)は、昭和32年から平成9年まで中央理容専門学校で教鞭を執り、また副校長として、優秀な理容師を数多く育成してきた。
理容教育の第一人者だが、一線美術展の会友賞や日本水彩画展の入選など、華々しい受賞歴を重ねた水彩画家としての顔もあわせ持つ。
教育者として多忙な日々を送ってきた福島さんは、そのかたわら、絵画の世界でも第一線で活躍してきたが、その出会いは、14歳で上京し勤めた店の主人に「良い物に触れろ」と連れて行かれた美術展で、絵画の素晴らしさに感動し、自らも筆をとったことに始まる。
絵画に関する教育は特に受けていないが、これまでに、スケッチを含め、約3000点の絵画を描き、その間、個展を開くまでに腕を上げた。
福島さんは、中央校を退職後も創作活動を続け、現在もアトリエで活動、1日5枚のスケッチを目標に描き、時には海外にまで出かけて創作するなど、精力的な第2の人生を送っている。
「絵には、人の心を和ませる癒しの効果があります。平和にもつながる大切なものです」との想いから、地元でも「絵を楽しむ会」を設立し、絵画の指導とともに、楽しさ、奥深さを伝える活動も行なっている。
「次は80歳で個展を開きたいですね」と、夢を語る福島さん。喜寿を迎えてもなお、未来に向けられた目が印象的だった。
(平成16年6月1日付け№345掲載)