悠久の歴史の流れの中で、女性の装いは、時代や社会的地位の変化に伴い、多彩な変遷を繰り広げている。
現代では、女性がメイクやファッションを自由に選べる時代だが、かつて、化粧やヘアスタイルは、年齢や身分、階級、未婚・既婚を表す規制のあるものだった――静岡県熱海市のMOA美術館では、このような背景をもつ女性のヘアスタイルと、化粧や衣装などの変遷を一堂に集めた「美しさへの挑戦~ヘアモード・メイクアップの300年~」を開催している。
「結う」「装う」「粧う」の3部門から、それぞれ西洋と日本の美意識や流行の伝播の違いなどを、各時代の化粧道具、髪型、衣装、装身具や絵画資料を展示し、「その時代の女性たちがどのように美しさを求め、どのように自分たちのものにしてきたか」を解説する。
さらに、マリー・アントワネットなど歴史を飾った女性たちをイメージする「香り」が楽しめるブース、徳川十三代家定夫人・敬子と十四代家茂夫人・和宮が使用した化粧道具の展示など、古今東西を問わず、豪華さと栄華を競った当時を偲ぶことができる。
女性はいつの時代も「美しくありたい」と願っている。そのための化粧、髪型、衣装、そして装身具を通して、過去から現在、未来へと続く女性たちの『美しさへの挑戦』に触れてみてはいかがだろうか。9月24日まで。
●MOA美術館
住所/熱海市桃山町26‐2(℡0557‐84‐2511)
交通/熱海駅バス乗り場④番から乗車。「MOA美術館」下車。
開館/9時30分から16時30分(毎週木曜日休館)
(『全理連』 平成18年9月1日付けNo.372掲載)