昔から理容師は「手先が器用」といわれ、実際に絵画、書道、工芸など幅広い分野に長けた「街の芸術家」が各地で活躍している。
東京都の毛利勝利さん(66歳)は、そんな理容師の才能を地域文化活動の向上に役立てたいと考え、「調布狛江理容組合アート展・職人の芸術展」を発案、開催した。
東京都組合武蔵調布支部長を務める毛利さんは、役目がら支部員の店舗を訪れる機会が多く、それぞれが趣向を凝らした店内に、オリジナルの絵画やオブジェが飾られていることに気づく。
「これいいね。どうしたの?」、「趣味で作ったんですよ」――そんな声を聞くうちに、これらを集めて展示したら地域の文化活動発展のための力になれるのではないか、きっとお客さまも喜んでくれるだろう、毛利さんのイメージは膨らんだ。
そうして、実現に向けて準備をはじめ、平成13年10月、第1回展の開催にこぎつけた。集まった作品はどれも玄人はだしの秀作揃いで、しかも2日間の展示には約200人が会場を訪れた。その後の反響も大きく、「またやってほしい」という声がお客さまや支部員の中から高まり、今年11月15・16日に第2回展を開催する運びとなった。
「理容は地域に密着した職業なので、愛される存在として、いつでもお客さまと触れあえる機会をつくりたい」と、毛利さんは、新しい展開にも意欲を見せた。
約40坪の会場は街の芸術家の作品で埋め尽くされ、観客の目を楽しませた |
(平成16年9月1日付けNo.348掲載)