Vol.29 レトロ映画看板、業種別博物館-商店街再生に貢献 吉澤義雄さん(東京都)

  近年、元気を失っていく商店街が多い中、特色ある街並みづくりで活気を取り戻す例を耳にする。それが刺激となり、町ぐるみで再生を果たしたところも多い。

  東京・青梅市にある住江町商店街は、昭和時代の映画看板を随所に掲げ、「昭和レトロ映画看板の商店街」として話題となり、賑やかさが戻ったことで知られる。このタイムスリップしたような感覚になる街並みづくりのきっかけを作ったのが、この街で明治時代から4代続く理容店を営む吉澤義雄さん(68)だ。

  昭和45年、商店会長だった吉澤さんは、このままでは商店街が衰退してしまうと危惧し、お客さまを呼べる街並みづくりを提案し、周辺の店主の説得にあたった。その思いは後の商店会長に受け継がれ、平成7年に「昭和レトロ映画看板の商店街」として実現をみた。

  現在は、各店が代々伝わっている所蔵物などを展示し、業種ごとの歴史博物館とする取り組みを行っている。吉澤さんも、祖父の代に使用していたバリカンなどを展示し、「理容博物館」を目指す。

  一方、吉澤さんは『青梅の自然と環境を守る会』の代表も務めており、「自然が豊かだという理由で転居してくる方がたくさんいますが、宅地開発で山から鳥や樹木が失われていきます。青梅を愛する者としてこの町を守っていきたいのです」と、乱開発で動植物が絶滅するのを阻止するための活動も行っている。

吉澤さんがきっかけを作り、「昭和レトロ映画看板の商店街」として話題になった街並み

 

(平成17年8月1日付けNo.359掲載)

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