理容師でありながら画家。埼玉県組合員の菅原清さん(71)は、同県の入間郡で理容業を営む傍ら、趣味で絵画を描き続けている。しかし、その腕前は「プロ級」。去る6月6日(木)から12日(水)まで、東京・上野松坂屋南館7階の美術サロンで知人からの強い勧めを受けて初の個展を開催した。展示会場には、菅原さんの絵画の創作テーマである「飛騨高山白川郷の合掌造りの民家」の作品37点余りが展示され、四季折々様々な表情を見せる民家の作品が鑑賞者の目を楽しませていた。
菅原さんは、30歳頃から絵を描き始め、昭和49年から52年には4年連続で二科展に入選。この他にも現代日本絵画展出品、国際文化交流功労特別大賞受賞、平成芸術文化栄誉賞受賞など多方面で作品が認められている。また、第2回全理連美術展絵画部門では銅賞、第3回同部門では金賞に入選されている
菅原さんになぜ「民家ばかり描くのか」と尋ねたところ、「東北生まれの私にとって、民家のある風景は、郷愁の思いとしていつも心の中にありました。合掌造り民家に出会った時、素朴さの中に風格のある独特な家並みのすばらしさに感動し、一枚でも多くの作品を描き残したい気持ちを抑えることができず、今日まで筆をとり続けてきました」と熱く述べられた。
ところで、菅原さんの本業は「理容業」。普段は奥様と2人で理容店を営業し、かつては埼玉県福岡支部の副支部長を務めたこともある。絵画の創作は店を終えてから行うとのことであるが、時々飛騨高山へ取材に出かける時は、「その間、店のことは妻にまかせっきりですよ」と話す笑顔が印象的だった。
(平成14年8月1日付け№323掲載)