東京・浅草橋の理容サロン「AZ hair」オーナーの磯田真弘さんは、メーキャップ・アーティストとしても活躍する理容師だ。
雑誌やテレビなど幅広いフィールドをもつ磯田さんだが、約20年前、ファッション誌のヘアメーク担当を、撮影途中で外されるという苦い経験をする。
ところが、直後に観たファッションショーで、その原因がメークにあることを感じ、そのショーのメーキャップ担当だったシュウ・ウエムラ氏に一方的に「弟子入り」した。その時から、氏の技術を徹底的に盗む一方、スクールにも通い、メークをトータルに学んだ。
やがて、努力が結実して、業界誌はもとより、業界外からも仕事の依頼が舞い込み、ショー、映画、テレビ、雑誌、ポスターなど、その活躍の場は多岐にわたるようになり、今日にいたる。
現在は、make-up-positionというチームを主宰して、講習活動とともにメーキャップ・アーティストの派遣などに携わるが、そこで指導していることは、技術以外の部分が重要ということだそうだ。
「それは五感を醸成し、その人がどうなりたいかを感じとるということです。そのお手伝いをするのがメーキャップなんです」――自らが得たものを次の世代に伝えていきたいとする磯田さん。そのことを胸に秘めて、つねに学び、研き続ける姿勢を貫く。
撮影現場でモデルのメーキャップを担当する磯田さん |
(平成17年10月1日付けNo.361掲載)