Vol.43 日光彫趣味の会を立ち上げ地域の伝統文化をひろめる 君島光男さん(栃木県)

 栃木県日光市の君島光男さんは、「日光彫趣味の会」代表という肩書きを持つ理容師。仕事のかたわら手鏡などを彫り、日光彫り教室で出会った仲間7人で販売も行っている。

  日光彫りとは、彫りに「浮き彫り」「内浮き彫り」「透かし彫り」「ひっかき彫り」などの技法と、世界遺産・日光東照宮の彫刻にも見られる「牡丹」「菊」「梅」「桜」などの植物の図案が多いのが特徴の伝統工芸で、かつて日光東照宮御造営に従事した職人たちが、この地に住み着いて伝えたとされる由緒ある芸術文化だ。

君島さんの理容店に併設した日光彫り趣味の会の店。
ここで販売と創作活動が行われる
趣味の会代表の君島光男さん

 君島さんは「せっかく日光で生まれ育ったのだから、自らの街の伝統に触れたい」と平成10年から日光彫りを始め、12年に会を創設した。

 「趣味の会ですので、職人さんのように商業的に量産する必要はありません。時間があるときに好きなだけ時間と手間をかけられるので、お客さまに立体感や深みのある本物の日光彫りをお見せすることができ、リーズナブルにご提供できるわけです」と、自らの会を説明する。

 「趣味だから・・・」と照れくさそうに語っているが、実は日光伝統工芸品展示会で表彰されるほどの腕前で、何十年も続けていても表彰されない方が多くいる中で、始めて1年で表彰されている。その技術の高さと丁寧な仕事から日光彫り趣味の会の店を訪れた観光客からは「他店のものとはまったく違う。すばらしい」という声が聞かれており、会の活動が日光彫りの繊細さ、美しさ社会に伝えることにもつながっているようだ。

 理容店にお客さまがいらっしゃらないときや休日には、理容店となりの「趣味の会の店」で創作に励む君島さん。伝統的な図案とともに、絵を趣味としている奥さまが描いた新しい図案の作品の創作にも挑戦しており、「一生続けられる趣味ですから、研究を深めて新しいものを生み出して行きたいですね」と、今後の活動にも意欲を見せている。

 

■日光彫趣味の会の店

 栃木県日光市石屋町404

 ℡:028-853-0089

 アクセス:東武線「東武日光」より徒歩7分。

 

 (『理楽TIMES』 H.20.3.1付け№390掲載)

日光伝統工芸品展示会で表彰された
四段引出し「牡丹」

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