「日常を切り取ったような身近な写真って良いですよね」と語るのはプロカメラマンの野口博さん。ドラマや芝居のポスターなどを手がけるかたわら、仕事以外でも写真を撮りたいと理容店をテーマに写真を撮り続け、これまでに約100軒を撮影してきた。 写真家カート・マーカスの理容師を撮った作品にあこがれていたという野口さんは、あるときアメリカの理容店を集めた写真集に出会ったことで自分でも理容店を撮り始め、その雰囲気と個性豊かな店主たちの魅力に惹かれていった。そして、5月7日からその写真展「理髪―バーバー」を東京都渋谷区の日仏会館で開催するに至った。 |
写真展でも展示される野口さんの作品。 理容店のあたたかさが表現されている |
野口博さん |
写真展の副題は「えり足を剃られる時のくすぐったかった思い出を探して」。これは、野口さん自身の幼少期の思い出によるものだという。 「えり足を剃られると異常にくすぐったがる子どもっていますよね。僕はまさにあれで、親に“行ってこい”といわれて向かった理容店で順番を待っているときの“もうすぐあのくすぐったいのをやるんだ”という気持ちは忘れられません」という思い出を写真展に託すことで、誰もが持っているであろう理容店の思い出と、そこに漂う雰囲気をそれぞれに楽しんでほしいというメッセージを込めている。 「理容店は店主と客、そして客どうしも会話するあたたかい場所です。最近、悲惨な事件が多いですが、この写真展で人と人のつながりのあたたかさを感じてほしいです。そして当たり前の日常の中にこういう場所があることの尊さを見直してほしいです」と野口さんは写真展の意義と想いを語った。 |
■野口博写真展「理髪―バーバー」 期間:5月7日~30日 10:00~18:00(日・祝休館) 場所:日仏会館エントランスホール(東京都渋谷区恵比寿3-9-25 ℡03-5424-1141) アクセス:JR山手線「恵比寿」東口下車。恵比寿ガーデンプレイス方面へ徒歩10分。 (『理楽TIMES』 H.20.5.1付け№392掲載) |