「ヒゲを剃ったのは22年ぶりです」と語るのは、東京都組合の稲葉孝博さん。NHKの大河ドラマ「平清盛」に僧侶役で出演することになり、トレードマークの坊主頭とヒゲを剃り落としたのだ。 稲葉さんが出演したのは第35回「わが都、福原」(9月9日放送)。清盛(松山ケンイチ)の出家に伴う剃髪を担当した僧侶役で、清盛が政治の表舞台から身を引き、厳島神社の整備と日宋貿易の拡大に没頭していく転換期の重要なシーンだ。 撮影当日は、自毛を伸ばして撮影に臨んでいた松山さんの髪をスキンヘッドに剃り上げる、失敗の許されないシーンの撮影ということもあってか、スタジオにはピリピリとしたムードが漂い、数秒のシーンの撮影に約2時間、待ち時間も合わせると7時間を要したという。 サロンでは、お客さまをスキンヘッドにすることもあるという稲葉さんだが、撮影は当時を再現する形で行われるため、ぬるま湯で湿らせただけの頭を、使い慣れない日本かみそりで剃るという技術が求められ、大変苦労したという。 |
平清盛に出演した稲葉さん。取材時にはヒゲも髪も復活していた |
僧侶の衣装に身を包んだ稲葉さん |
また、片ひざをついた姿勢を長時間維持したことで、翌日は筋肉痛になったとか。 セリフはなかったものの、大河ドラマの重要なシーンに一般の理容師が出演したことは極めて異例。稲葉さんは「大変貴重な体験で勉強になりました。この体験をお客さまとの会話などに活かして行きたいです。ヒゲを剃って、頭もツルツルに剃ったので、お客さまも気づいてるはずなんですけれど、『何かの反省で剃ったのかも知れない』と思うみたいで、あんまりツッこんでくれないんですが(笑)」と笑顔を見せていた。 |
(理楽TIMES H24.10.1付けNo.445掲載)