「モネと画家たちの旅~フランス風景画紀行」が、3月23日まで、神奈川県・箱根仙石原のポーラ美術館で開催されている。
モネ、ゴッホ、セザンヌ、ルノワールを中心として、19-20世紀のフランスの風景画を、コレクションの中から特集して展示、20世紀の画家たちの旅を紹介する。
まばゆいばかりの太陽、きらめく紺碧の海、緑豊かな森――それまで描かれていた宗教や歴史、神話といった主題から、郊外の自然を主題とした創作活動へとフィールドをシフトしていった背景には、鉄道の普及にはじまる交通機関の発達による、画家たちの行動範囲の広がりがあったという。
地下2階の展示室では、今回の展覧会と併せ、『旅』をキーワードとした化粧道具展「20世紀の旅とよそおい」が行われている。
エジプト時代にはじまる化粧は、呪術や宗教的儀式、身分を表すものと変遷しながら行われてきたが、1900年前後からは、女性の活動の広がりとともに人に快い印象を与え、また自分を主張する手段として一般化していく。しかも、交通機関の発達は、女性の行動範囲にも広がりをもたらし、旅用の携帯用化粧道具を出現させ、また、この時代にはコンパクトやリップスティックといった20世紀を代表する化粧道具も登場するなど、「この時代が歴史上、最も化粧が容認された時代ともいわれました」と、ポーラ文化研究所の津田紀代さんは解説する。
そのような歴史を、貴重な資料約180点で紹介するこの展示、「1930年代から発売されたネイルカラーは、自動車用の速乾性塗料の開発とともにできたといわれています」(津田さん)など、当時の先端技術とファッションとの関わりなども興味深い。
1階には、展覧会に合わせた食事が楽しめるレストラン「アレイ」がある。現在は、モネゆかりのノルマンディー地方の料理をアレンジしたコースメニュー「モネ・美食紀行」(2,625円税込)が用意され、味覚も満足させてくれる。
●ポーラ美術館
住 所/神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
℡0460-84-2111
交 通/箱根登山鉄道「強羅」より、施設めぐりバス(湿生花園前行)約13分「ポーラ美術館」下車
入場料/1,800円
開 館/9時から17時(年中無休)
(『理楽TIMES』 H.20.2.1付No.389掲載)